12. 願正壇 ( がんしょうだん ) ( 文明 ( ぶんめい ) 年間 1469 〜 86 )

 加賀国 ( かがのくに ) (石川県) 菅生 ( すごう ) の人で、 浄土 ( じょうど ) 真宗 ( しんしゅう ) 本願寺 ( ほんがんじ ) 八世 蓮如 ( れんにょ ) の 高弟 ( こうてい ) であった菅生 願正 ( がんしょう ) 上人 ( しょうにん ) が仏教を広めたところである。 この 地に永住し 草庵 ( そうあん ) をむすんで浄土真宗の布教にあたった。 帰依 ( きえ ) する者も多く、 御布施 ( おふせ ) の米を食べきれずに井戸に 投 ( とう ) じ、 甘酒 ( あまさけ ) のようになって川を流れたという「 甘酒川 ( あまさけかわ ) 」の話も伝わっており、その井戸(甘酒井戸)は今も残っている。
 
蔵増 中 ( なか ) の 東常得寺 ( ひがしじょうとくじ ) は願正坊が 開山 ( かいざん ) した。

(川崎利夫氏「天童の歴史散歩」より)

 

 

山地方には浄土真宗の寺が比較的多い。それを布教したのは本願寺蓮如の高弟、願正坊である。願正壇の地に草庵をつくり、その法話は多くの人々の信仰心を集めたと言われている。