(注 1 ) 板碑 ( いたび ) : 鎌倉時代におこり、室町時代には形式化しながらも増加していった中世だけに造立された石碑に板碑がある。 板状の石を用い、卒塔婆の一種として発生した供養塔であるが、墓石の意味を持つようになっていく。 板碑は、山形の頭部、 2 段の切込み(二条線)、やや突起気味の額部、それ以下の身部、地下にさした基部からなる。身部には仏像をあらわす 梵字 ( ぼんじ ) (種字)があり、造立年月の紀年銘があるのが普通だが、古く 磨滅 ( まめつ ) してわかりにくいのが多い。 板碑に多い信仰は、 阿弥陀 ( あみだ ) 如来 ( にょらい ) を供養して浄土往生を祈願したもの、ほかに阿弥陀三尊、または一尊を梵字で表現したもの、 大日 ( だいにち ) 如来 ( にょらい ) ・ 釈迦 ( しゃか ) 如来 ( にょらい ) ・ 薬師 ( やくし ) 如来 ( にょらい ) への信仰、 日蓮宗 ( にちれんしゅう ) の題目を表したものなどがある。 一般に、鎌倉時代のものは大柄で個性を感じさせ、時代が下がるにつれて小型化するといわれる。 蔵増地区には 14 基発見されているが、この内 10 基は小矢野目、矢野目、塚野目という東部に圧倒的に多い。 (大木彰先生「蔵増地区における明治以前の石造文化財」より) (注 2 )アーンク: 梵字 ( ぼんじ ) ( 種子 ( しゅじ ) )のひとつで、 大日 ( だいにち ) 如来 ( にょらい ) を表す。
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